フィットネス施設の仕入・販売促進【動向解析①】

文: 朝倉新
スポーツ流通.COMでは一般流通だけでなく専門施設、パーソナルジム、接骨院、個人経営店など様々な要望に応える仕入と販売促進方法の御提案をしています。本コラムでは仕入れ担当者と店舗スタッフの皆様が今すぐ使える販売促進テクニックを掲載していきます。

【フィットネス市場の動向解析①】

少し古いデータとなってしまいますが、日本のクラブ業界のトレンド2012年版(株式会社クラブビジネスジャパン)からフィットネス市場の今後の動向について気になる部分を記載(抜粋)します。

売上高データ
◆有料プログラムや指導員派遣、受託事業など、プロショップ事業を除くその他売上は微増傾向にある。

施設数の推移
◆ジム・スタジオ型施設、ヨガ(ホットヨガを含む)・ピラティス等の専門スタジオ型施設など新業態の出店も前年の21軒から36軒へと増加している。

在籍・利用動向
◆総会員に占める中高年層の割合が年々高くなってきている。相対的に、若年層の割合は
年々低くなってきている。セントラルスポーツのフィットネス会員の年齢構成比では、40歳以上が70.9%を占める。また、ルネサンスでも62.5%を占めるまでになっている。

消費動向
◆60歳代、とりわけ女性層の消費が業界の成長を牽引している。
◆ペアストレッチ、パーソナルトレーニング、加圧トレーニング、ピラティス、デイスパやカルチャー系プログラム(例えば、バレエ、社交ダンス、ハワイアンフラダンス)など有料のプログラムを受ける人が増えてきている。
◆サプリメント(機能性補助食品)やミネラルウォーターなどの飲食物を摂る人が増えている。
◆クラブが館内で製造する高濃度水素水や海洋深層水を飲む会員も増えてきている。

需要動向
◆年齢、性別を問わず、低体力者、疲労者、ストレスを抱える人が増えている。
◆身体の状態で中高年女性が不安に思う項目は、「肩凝り」「疲れやすい」「関節痛」などである。
◆中高年女性の多くは、筋トレは「ダイエット」や「健康」のためにいいと考えている。
◆男性はジムでパワーアップ、女性はいろいろな(好みの)アイテムでリフレッシュしたいと考える傾向が強い。

設備投資動向
◆パーソナルTVやデジタルポスター、デジタルサイネージなど、AV機器・装置を採り入れるクラブが増えている。
◆食生活の状況をチェックするシステムを導入するクラブも見られた。

経営動向
◆タオルやプライベートロッカーのレンタル、パーソナルトレーニング、福利厚生サービスなど、会費外収入(付帯収入)を高めようとする動きがうかがえる。

事業環境の変化
◆中小規模の業態を開発~出店する動きが顕著になっている。
◆女性専用小規模サーキットジム・ホットヨガ、あるいはヨガ・ピラティススタジオ・セルフ型ジム単体施設、マイクロジム、ジム/スタジオ型クラブなどの新規出店が多くなってきている。
◆トレーナー・インストラクターらが独立起業し、パーソナルスタジオ、パーソナルジムを新設したり、介護予防事業に参入したりする動きが見られる。

技術環境の変化とそれへの対応
◆メール配信やSNSなどを活用して顧客との関係性を強めようとするクラブも増えている。
◆備品などの電子購入システムを採り入れ、間接費削減を目指すクラブが出てきている。
◆ホームページやモバイルサイトを見直し、拡充する企業が増えている。

新たな商品開発や企業・業界の連携などの取り組み
◆高額な家庭用のフィットネス・リラクゼーション関連器具を店頭でデモストレーション販売するフィットネスクラブがみられるようになってきている。サンプリングよりデモ販売をすることが多くなってきている。
◆コラボレーション(協働)を活用する企業が目立ち始めている。 ・病院・医師との連繋
・福利厚生代行企業との提携
・プログラム開発者と連携してのクラブ向け新プログラムの開発
・メーカー・サプライヤーとの製品・プログラム・施設共同開発
・スペシャリスト(大学教授・空間プロデューサーら)との協働
・自治体・地域コミュニティなどとの企画推進
(例:地域支援事業・介護予防・デイサービス・メタボ対応)
・近隣商店に販促協力を依頼
・同業他社・自治体などとの共同企画・イベント開催
(例:野外キャンプ・マラソン大会・新プログラムのリリース)

集客及び新規顧客開拓策
◆入会初月~2ヶ月間の月会費をサービスまたは大幅に割引くクラブが出てきている。ただし、半年以上あるいは1年間在籍することなどの条件がつけられている。
◆集客戦術としては、見学者への「測定・カウンセリング・評価」と「体験利用」および「会員紹介」が主流になりつつある。体験利用は1回だけでなく、数回または一定期間に設定するところが増えている。
◆都心のクラブによっては入会者のおよそ5割がネット入会となっているところもある。
グループでの同時入会にメリットを提供したり、「ペア会員」「トリオ会員」といった会員種別を設け、1人単価を正会員より低く設定する動きが見られる。
◆館内セールスや入会見込者向けのイベントなど「接点」を見直す動きが見られるようになってきている。

社会貢献活動の実施
◆入会金やチャリティプログラムへの参加費の一部を義援金として寄付するなど、「コーズ・リレーテッド・マーケティング(CRM)(特定の社会貢献活動や非営利法人を支援することで自社ブランドの評判を高め、売り上げに貢献していこうとするマーケティング)を取り入れるクラブも多く見られている。
◆フィットネス業界における主要な復興支援活動例
・フィットネス業界チャリティーフットサル大会の開催
・チャリティプログラムイベントの実施
・震災遺児・孤児向けスポ―ツ支援キャンペーンの実施
・被災地での健康教室の開催

会員定着策
◆カウンセリング、エントリープログラム、トレーニングスケジュールの提供など、入会
前あるいは入会直後、身体の状態や希望をチェックし、モチベーションをもってフィットネスに取り組めるような複数のサポートが提供されつつある。
◆運動の「効果」を感じてもらえるように指導力を高めている。また顧客のニーズを満たす提案力を一人ひとりのインストラクターが身につけられるように教育にも力を入れてきている。
◆クラブインクラブやイベントプログラム、各種スポーツ大会の開催・参加に取り組むクラブが再び増えてきている。

高齢・シニア層への対応
◆温浴施設、マッサージ、カルチャー、スクール、付帯アイテム・サービスを拡充する動きがある。こうしたアイテム・サービスの導入に伴い、客単価の向上を図るクラブが見られる。
◆生活習慣病、あるいはメタボリック症候群の予防・改善プログラム、パーソナルトレーニング、ペアストレッチなどを導入するクラブが見られる。
◆会員のマスターズ大会出場をサポートするクラブが増えてきている。

サービス生産性向上
◆優れた技術・知識を持つフリーのインストラクター・パーソナルトレーナーに育成機会(ユニバーシティ機能)や職務拡充(エージェント機能)を提供し、満足度を高めようとする動きが見られている。
◆一部のプログラムを自社で開発せずにアウトソースまたはコラボレーションにより開発する企業がある。
◆生活習慣病またはメタボリック症候群予防・ダイエットなどのニーズに対応した食事あるいはサプリメント付のプログラムを開発(提携)・販売するクラブが増えてきている。

地域コミュニティ対応
◆自クラブで行う一部プログラムを周辺地域の非会員にも有料・無料で提供する機会をつくるクラブが増えてきてる。
◆インストラクターが公的施設へ出向き、健康セミナー等を行ったり、クラブ経営企業が地域の公的フィットネス施設の運営を受託するケースが見られる。
◆街やクラブのイベント時に、施設を無料開放したり、レッスンのデモンストレーションや無料体力測定を提供したり、またキャラクターを出演させて盛り上げたりするクラブもある。

人事戦略
◆「モデル賃金(年収)」は、20歳242万円、30歳361万円、40歳518万円、50歳670万円である。
◆店舗の責任者(支配人、マネージャーなど)の平均年収は516万円である。
◆一般社員の初任給は、大卒平均で18.7万円、高卒平均で16.1万円である。
◆スタジオ系のフリーインストラクターの1時間あたりの平均フィーは、4,500円前後である。

今後の展望
◆月会費単価は長期的には下がるだろう。ただし、付帯サービスやオプション商品が拡充し、客単価は上がる可能性がある。
◆プロフェッショナルな人材がより求められるようになるだろう。お客さまの求める「フィットネス」を提供できる人材とその人材をマネジメントできるリーダーがいる企業が成長できるだろう。
◆指定管理者制度による公共施設の運営受託事業に取り組む企業は増えるだろう。
◆世界のフィットネス市場は引き続き拡大していくだろう。

一部抜粋なので全体を見たい方は検索して見てもらえればと思いますが私個人の見解としては他の市場と変わらず求められるニーズは

“シニア・女性向けにセグメントした高品質のサービス提供とIT化”

ではないかと思います。

次回はスポーツ流通.COMですぐに実現出来る販売促進の具体例を掲載予定です。

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この記事の著者

朝倉 新

朝倉 新

株式会社Keep up 代表取締役
一般社団法人アスリートエール理事

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